「TPPすぐそこに迫る亡国の罠」の著者、郭洋春氏がJ-WAVE、JAM THE WORLDに出演しお話されました。その部分を書き起こしました。
2013年7月24日
JAM THE WORLD 「BREAKTHROUGH」
ゲスト:郭洋春
書き起こしここから
堤:
J-WAVE、JAM THE WORLD。続いてはBREAKTHROUGHのコーナーです。マレーシアのコタキナバルで開かているTPP、環太平洋パートナーシップ協定の交渉会合に23日から参加している日本。今後の行方が大変気になるTPP。今夜はTPPを考える上で参考になる米韓FTA。これを通じてTPP参加後の日本を考えます。立教大学経済学部部長で、「TPPすぐそこに迫る亡国の罠」の著者、郭洋春さんです。郭さん、こんばんは
郭:
よろしくお願いします。こんばんは
堤:
よろしくお願いします。この「TPPすぐそこに迫る亡国の罠」って非常に過激なタイトルですけど、どうですか反響は
郭:
お陰様で特に地方の方ではですね、かなり被害を被るというところから、かなりいろいろな声をいただいています
堤:
これは地方のほうがやはり反応が大きかったということですよね
郭:
そうですね。はい
堤:
で、郭さんこの本の最後にですね、これは参院選の前にぜひ読んで欲しいということで、メッセージで書いていただいたんですけれども、参院選の結果どんなふうにご覧になってますか
郭:
そうですね。やはり、今回の参院選選挙はこのTPPについてはほとんど争点にはなってなかったですよね。ですから、もしこれが争点になっていたならば、もう少し国民の方々の考え方、あるいは投票行動も違ったのかなという気はしますね
堤:
あの、郭さんはですね、米韓FTAがTPPに参加した場合の日本を考える上で大変参考になると、これがモデルケースだという風におっしゃってるんですが、これは米韓FTAがTPPのモデルだということをいろんな方が証言してらっしゃる
郭:
そうですね。これは、昨年来ですね、当時の与党の民主党、あるいは野党の自民党が足繁くアメリカに行ってですね、TPPの内容を知りたいと言う風に言った時に、アメリカの担当者が皆口をそろえていったのが、「米韓FTAがモデルなので、それを参考にしてください」というふうに言ったわけで、そうしますと、米韓FTAで書かれていることが、全てTPPに盛り込まれてると言うふうに考えていいと言うふうに思いますね
堤:
これはシミュレーションする上で非常に大事な、貴重な検証材料ということですね
郭:
そうですね。それに、アメリカの財界の人もですね、実はこの米韓FTAこそ21世紀の自由貿易協定の、TPPも含むモデルであるということをはっきり言ってるんですね
堤:
はぁ、なるほど。ということは、TPPに限らず、今色んな所で行われている自由貿易協定の、これがいわゆる原本というか、そういうことですね
郭:
そうですね。アメリカにしてみれば、これほどアメリカの意向が反映された自由貿易協定はないと、そういうことなんでしょうね
堤:
なるほど。韓国は2年前の11月に議会で米韓FTAを批准して、1年前の3月に発効しているということなんですが、この1年3ヶ月で、すごく影響が出ているということなんですが、まずはですね、米韓FTA。簡単に言うと、一言で言うことは難しいと思うんですけれども、どんな協定だと考えればいいんでしょう
郭:
米韓FTAの特徴はですね、一言で言いますと、企業の自由な経済活動と市場へのアクセス、いわゆる参入ということなんですね。そして、それを保証するために、韓国の法律や制度、あるいは習慣というものが、アメリカの企業にとって不利益と思うならば、それをすべて変えさせる、あるいは変えることができる、そういう協定であるということだと思いますね
堤:
ということは、この米韓FTAの発効した後に、韓国は法律を変えている?
郭:
ええ。実はですね、発効する前からですね、韓国ではすでにですね、60以上の条例ですとか、あるいは法令、そういったものが変えられているんですね
堤:
それは米韓FTAの前段として
郭:
そうです。米韓FTAを発効するためには、要するに韓国の国内法が非常に問題であるということで、そのためにですね、運輸から通信、あるいはその様々な分野で、全てですね、あるいは公認会計士法とかですね、そういったものを含めて、60以上の法令・条例が韓国では変えられているんです
堤:
それを発効する前にということですね。それは、さっき郭さんがおっしゃったように、一言で言うと、法改正の方向性というのは、企業がより自由に商売ができるようにするための環境を作るという方向でしょうか
郭:
そうですね。要するに、アメリカと韓国では商習慣あるいは制度が違いますので、要するに、今の韓国の制度のままですと、アメリカの企業が自由な経済活動ができなということになりますので、それをなくすためには韓国の法制度をアメリカ企業が自由な経済活動できるように変えるべきであるということで、先ほど言った60以上の法令をすべて変えてしまったと。これ問題なのはですね、アメリカはどれくらい変えたのかどうかということなんですけれども
堤:
ええ。アメリカはいくつの法令を変えたんですか
郭:
ゼロです
堤:
ゼロ
郭:
ええ。ですから、韓国だけが一方的に法制度、さまざまな条例を変えたということで、アメリカにしてみれば一つも変えていないので、そういった意味で言うと、アメリカにとっては非常に理想的な自由貿易協定なんですね
堤:
そうですね。それは協定というと非常に対等な印象のある言葉ですけれども、すでに前段階でもう平等ではなかったということですね
郭:
いうことですね。実はそれを象徴するのはですね、米韓FTAの序文なんですけれども
堤:
序文
郭:
ええ。序文にはどう書いてあるかといいますと、韓国の企業がアメリカに進出した場合にはアメリカの国内法が適用されるというふうに書いてあるんですね
堤:
アメリカの国内法が
郭:
はい。ところが、アメリカの企業が韓国に進出する場合には米韓FTAの協定が適用されると言う風に書いてあるんです
堤:
不平等ですね。かなり
郭:
そうなんです。ですから、私この本でも言ったのは、もともと序文自体が不平等なわけですから、それ以降の1章からはじまる全24章ですけれども、それら全て不平等を前提にして作られている条約であるということになるわけですから、どの章がどうだとかっていう問題以前に、全てが不平等によって、前提とされているということなんですね
堤:
この米韓FTAの具体的な内容というのはですね、この郭さんの本をぜひ読んでいただきたいと思うんですが、そもそもそこまで不平等な協定をですよ、2国間で結ぶということをマスコミは報道したんでしょうか、国内で
郭:
実は残念ながらですね、ほとんど報道されてないんですね
堤:
報道されなかった
郭:
ええ。実は今回のTPPとも似ているんですけれども、米韓FTAというのはですね、700ページに及ぶ膨大は文書なんですね。しかも、英語の文章が非常に法律用語も含めて、難解に書かれているんです。したがって、韓国の担当者も実は300箇所も誤訳したと自ら認めているほど、非常に難しい内容ということと、もう一つはやはり、不平等の内容を政府がですね、ほとんど公開しなかったので、マスコミもどこに問題があるのかということをわからないままに、ただ自由貿易が推し進められるという、そういうことだけを考えて、日本と同じようにですね、韓国は貿易立国であるますので、これによってさらなる輸出がすすむというような文章が割と多かったんですね
堤:
同じですね。なんかこう、日本の1、2年先を韓国が行っているというような展開ですね
郭:
そうですね。実はこの間TPPをめぐって日本でもいくつか話題になることがありまして。おそらく、がん保険の問題であるとかですね、実はああいうのはその数カ月前に韓国で起きているんですね。ですから、韓国で起きていることは、数カ月後には必ず日本で起きると
堤:
日本が後を追っかけてる
郭:
ということですね
堤:
いうことなんですね。そうするとあの、郭さん。2年前の11月に議会で批准するという時に、反対派の野党が発煙筒をですね、国会で投げてという、あれが非常にインパクトが私あって、記憶に残ってるんですが、あの時の野党というのはどこから情報を得たんですか。この不平等な内容は
郭:
えーとですね、もともと実は、その当時の野党は、この米韓FTAが最初に始まるのは2006年なんですけれども、その時は与党だったんです、実は
堤:
なるほど
郭:
で、与党で推し進めようということで、進めていたんですけれども、実はその時に1回、1年後、2006年の1年後の2007年に、両国の国同士がですね、一応合意するんですけれども、その時は実はアメリカが反対するんです
堤:
アメリカが
郭:
ええ。これはアメリカにとって不利な条約であるということで、要するにアメリカにとってみれば旨味のない、メリットのない自由貿易協定であるということで、実は当時のオバマ政権、あるいはヒラリー・クリントンさんがこぞって反対するんです。それで、5年間、ずっと締結できないままに、アメリカの要求がずっと出続けて、韓国が全てそれを飲んだ結果、今度はアメリカの要求通りに中身が変えられたということなんですね
堤:
じゃ、中身がどんどんアメリカの都合がいいように変化していったところがあったわけですね。その時の与党が野党になった時に反対をしたと
郭:
そうですね、はい。あともう一方で、当時の与党、現在の野党も、自分たちも十分中身を実は吟味していなかったというですね、そういうことは認めてはいるんですね
堤:
そうすると、郭さんから日本の国会での展開を見ていて、あの頃の韓国を見ているような
感じですかね
郭:
そうですね。まさに、情報が一部の人にだけ集中していて、いわゆる国民にも当然知らされませんし、あるいは政府の中でもごく限られて人にしか情報が行き渡らないというようなことで結ばれていくということですから、今非常に日本で起きていることと全く同じだったわけですね
堤:
そういった意味でもこの警告のメッセージを本として出されたという風に思うんですが、では実際、米韓FTAを結んで1年3ヶ月。どんな影響が出たのかということなんですが、例えば、一番生活に密着した所で、学校給食にすごく影響が出たということなんですが、ちょっと説明していただけますか
郭:
はい。これは昨年の1月なんですけれども、ソウル市、日本で言うところの東京都ですよね。そこがですね、ソウル市が制定した、学校給食に冠する条例というのがあるんですね。これは、子どもたちの学校給食には遺伝子組み換え食材の使用禁止すると、そういう規定がソウル市が作ったんですけれども、これが米韓FTAの貿易に対する技術協定、いわゆるBTBと言われているですね、これに違反して、紛争に発展するおそれがあるということで、もし米韓FTAが結ばれたならば、早くこのことについて対処しなければいけないということをですね、ソウル市がホームページで公開するんです
堤:
はぁー。(米韓)FTAで引っかかってしまうと
郭:
ええ。要するに、アメリカの場合にはですね、遺伝子組み換え食品も韓国に入れたいと思ってるわけですよね。ところが、先程の企業の自由な経済活動の学校給食という市場に入れないということになれば、当然これはアメリカはおかしいじゃないかということで訴えてくるということで、韓国のソウル市はですね、当然訴えられるのではないかということで、これに対しては対応しなければいけないということをですね、実際には3月に発効しますけれども、その2ヶ月前の1月に、すでに韓国政府に対してなんとかしてくれと警告を発してるんですね
堤:
で、政府はどんな風に対応したんでしょうか
郭:
基本的には対応していないです。なぜかというと、要するに企業の自由な経済活動が米韓FTAで結ばれてますので、ソウル市の要求の方が逆にまずいということになるわけですから、基本的には何もできないという状態ですね
堤:
そうなると、今後、ソウル市が、アメリカの例えば遺伝子組み換え食品産業に訴えられる可能性があると
郭:
そうですね。もし、遺伝子組み換え食品を扱わないということを続ければ、そうなってしまいますね
堤:
今のは食に関する非常に具体的な例の一つだったんですけれども、企業の経済活動の利益を阻む国内法というのがどんどん変えられてしまうということがすでに起こっているという、そういったお話でした。
では、ですね、他にもたくさん聞きたいことがあるんですけれども、日本で今、今日本原発の問題がありますから、TPPとこの原発の問題。どういうふうに絡んでくるのか。実は郭さんはですね、日本がTPPに参加した場合、脱原発が難しくなるという警告をしていらっしゃいます。それは一体どういうことなのか。このあと詳しく伺います
J-WAVE、JAM THE WORLD。BREAKTHROUGH。
今夜は立教大学経済学部部長で「TPPすぐそこに迫る亡国の罠」の著者、郭洋春さんをお迎えして、TPPの先行モデルといわれる米韓FTA。これを通して、アメリカの思惑、TPP参加後の日本について考えています。郭さん、引き続きよろしくお願いします。
郭:
よろしくお願いします
堤:
前半のお話ではですね、米韓FTAというのは一言で言うと、合法的に米系の企業が自由に利益を拡大できるように韓国の環境を変えるという、合法的な経済支配みたいな感じの話ですよね
郭:
そうですね。先程も言いましたけど、正にこれをアメリカは全ての自由貿易協定を結ぶ国に適用したいと思ってるほど非常にうまく言ったと思っている自由貿易協定ですね
堤:
理想的なモデル、アメリカにとって、ということですね。これをEPAだとか他の、例えばEUとのFTAとかそうとこに適用しているわけですね
郭:
そうですね。できれば、そうしたいと思ってるんでしょうね
堤:
なるほど。あの、先ほど前半の最後にちょっと言及したんですけれども、日本で今話題になっている脱原発ですね、今度の選挙でもそういう主張が出ていましたけれども、TPPに参加すると脱原発が不可能になるということを、郭さんはこの著書の中で指摘されています。これは、どんな、どういう理由で
郭:
はい。日本では脱原発を主張しながらですね、TPPに賛成する方って割といるんですけれども、私から言わせるとですね、それはありえないということなんですね。なぜかと言いますと、その具体的な事例がヨーロッパで起きているんです。2年前に東日本大震災が起きまして、福島第一原発で事故が起きまして、ドイツがですね脱原発政策に転じるんですね。多くの原発を稼働停止しようというふうにするんですけれども、その時にですね、スウェーデンの企業がEU版ISDというものがあるんですけれども、それによってドイツ政府を訴えるんです。その訴える理由の中身が何かというと、スウェーデンの企業が、場所はフランクフルトなんですけれどもドイツの、そこに原発を作ったんですね。もしそれが稼働停止することになれば、自分たちがそこに投資したお金、あるいはそこから得られるであろう利益が全て失われてしまうということで、それは非常にけしからんということで、ドイツ政府を相手取って訴えるわけです。これは要するにEU版ISDと言われているわけで、そうすると、当然これはですね、他の国でも同じようなことが起きれば、当然ISD条項が発動されるということで、日本でも脱原発を叫んでいる方々、あるいは政党がいますけども、もし本当にそれをしてしまったらですね、日本に原発の技術を提供しているアメリカの企業がですね、当然得られるであろう利益が得られなくなってしまったということで、日本政府を相手取って、ISDで訴えると。その結果負ける可能性があるということで、そうすると日本政府にしてみればですね、原発を止めたことによって、アメリカ企業に訴えられると。エネルギー需要もままならないし、なおかつ莫大な損害賠償もしなければいけないと。だったら、原発を稼働しましょうということになるわけで、そうすると国民もなかなか反対できない状態になると
参考:原発を止めたければ、TPPを止めることが前提条件の一つ!!!-脱原発を望む人へのメッセージ
堤:
しかも、それは合法ということですからね。先ほどの遺伝子組み換えの給食の話と同じことですよね。あの、こういう非常に不平等な米韓FTAをなぜ韓国は飲んだのかということが良く疑問で言われるんですけれど、そういう時にですね、例えば、経済的なメリットがTPPに無かったとしても、安全保障上の問題があるじゃないかという議論が最近出てきて、韓国の場合もそういう議論というのがあったんでしょうか
郭:
まさにですね、先程も言いましたけれども、日本で安全保障が出たと同じように、韓国でも米韓FTAを締結する直前にですね、安全保障問題というものが出るんです。その2年前の11月にですね、韓国は国会で批准しますけれども、そのおよそ1月前にですね、当時のイ・ミョンバク大統領が韓国の与野党全ての国会議員に当てて手紙を出すんですね。その手紙の中身は何かといいますと、米韓FTAというのは経済的なメリット以上に安全保障上・外交上のメリットが大きいんだと、だから多少中身が問題があっても批准に賛成して欲しいと、そういう手紙を出すんです。その結果、1月後にですね、与党による単独強行採決ありましたけれども、米韓FTAが批准されると、そういう形になるんですね
堤:
でも、郭さん。韓国は米軍基地があったりして、それを言われてしまうと、反論できなくないですか
郭:
そうなんですよ。まさに北には北朝鮮があり、そして、その時の論理がですね、もっと北を見ると中国・ロシアが、と言う大国がある。そして、南を見ると日本という大国に囲まれた韓国は、アメリカに頼らざるをえないんだと。したがって、多少経済的に不利な条約であっても、結ぶことが韓国の安全保障上大事なんだということで、多くの国民が納得すると言いますか、そういうことならしかたがないというような方向に持って行ってしまうんですね
堤:
でも、それはアメリカ側からすると、非常に有利なカードですよね
郭:
ええ。ですから、アメリカの立場からすると、それが出たらですね、待ってましたとばかりにですね、要は北朝鮮からの距離、あるいは中国・ロシア・日本からの大国から守ってあげる以上は、経済的に多少不利であっても結びなさいねというアメリカの一方的な要求が通ってしまうということになるわけですね。ですから、その日本との安全保障の問題を(聞き取れず)にしてしまうと、これはアメリカにしてみればですね、待ってましたとばかりにですね、であるならば、経済的に多少日本が不利であっても、TPPに合意しなさいということになってしまいますね
堤:
そうなると、日本も韓国も実際に安全保障の問題では、アメリカとも密接な関係があるわけですから、それを出さないというわけにもいかないんではないですか
郭:
確かにですね、安全保障の問題というのはあるんですけれども、ただTPPあるいは米韓FTAというのは純粋に経済的な協定なわけですよね。ですから、そこでメリットがあるのかないのかということを議論するのはいいんですけれども、経済的な効果がないということがわかった瞬間に、いやそれ以上に安全保障の問題なんだというのは、これは論理のすり替えであって、本来、米韓FTA・TPPを結ぶときにはそういう話はなかったわけですから、それを今更ながら出すというのは、やはり2つの自由貿易協定にはですね、国民の便益をよくする、そういう経済的効果はないということを政府自らが認めてしまっているということになると思うんですね
堤:
韓国でもメリットがないということが明らかになってしまった後でその話が出てきたということですね。今ですね、日本国内では経済を立て直すためには、TPP参加が不可欠だと。例えば、もっと強い農業を、農業をもっと強くしなければいけないとか、もっとグローバルに日本も国際的に出ていかなきゃいけないという意見は未だにあるんですが、それについてはいかがでしょう
郭:
そうですね。農業を強くしなければいけないというんですけども、この主張もちょっと私から言わせると論理矛盾していまして、TPPに加盟すると農業は衰退すると言っているわけですね。それで、政府の試算でも、およそ3兆円ぐらい停滞すると言っている産業を立て直すというのはですね、これはちょっとおかしな話であって、TPPは農業は衰退するけれども、工業製品は儲かるから、だから入りましょうと言っているわけで、にも関わらず、強い農業を作りますというのはですね、そうすると、農業は特にそのダメージを受けないということを言っていることと同じなわけで、それができないから保証しますと言う風に言っているわけですから、一見すると、強い農業というのはですね、誰もがそうだなとは思うんですけれども、これは日本政府の説明からすると、論理矛盾ですね
堤:
矛盾があると。あの、韓国はもう一つですね、皆保険がありますよね。国民皆保険。あれはどんな風な影響を受けそうですか
郭:
えーとですね、日本も皆保険ありますけども、私から言わせると、皆保険は形式的には残るでしょうけども、事実上は機能しなくなると、言う風になると思いますね。実は、韓国は昨年の3月に米韓FTAを結んだ翌月の4月にですね、自由貿易地域に限定して自由診療、アメリカの外国人病院の設立を認めるんです
堤:
医療特区みたいなのを作ってしまってということですね
郭:
医療特区。そうですね。もちろん、それは外国人の居住者に限定するということは言ってはいるんですけれども、実はですね、それだけではすまなくて、要するに自由診療、いわゆる営利病院を韓国の企業も作っていいと、その特区であればですね。その時に真っ先に手を上げたのは、韓国で最大の財閥グループであるサムスングループが手を上げまして、自分たちもその経済特区ですね、病院を作りたいと言い出したわけです。実は韓国の一番有名なソウル大学の病院も自分たちも作ると言い出したわけです。
そうすると、特区の中には、自由に営利病院を作ることができるようになるわけですね。そうすると、そこには、高度な医療を提供する病院があるとなると、国民は当然受けたくなるわけですね。特にお金を持っている富裕層は、いくらお金を出しても受けたいということになってくれば、韓国政府はそういう人たちの要求があるならば、他の場所でも作りましょう、あるいは韓国民にも自由診療を受けられるようにしましょうというふうになってくるわけで、そうすると、皆保険を受けられる、受けざるをえない人たちと、それ以外にお金を払えばもっと高度な医療を受けられるという、そういう医療格差が広がってしまうと。したがって、国民皆保険制度が残ったとしても、事実上ですね、多くのいわゆる富裕層はそれではない医療を韓国内で受けて、そして、健康な生活を送ることができる。お金のない人たちは国民皆保険制度の中でしか診療を受けられないと。そういう問題が発生すると思いますね
堤:
(皆保険制度は)残るけれども、形骸化するということになりますね。はい。
まだまだたくさん聞きたいことあるんですけれども、ぜひみなさん、「TPPすぐそこに迫る亡国の罠」というこの本ですね、三交社と言うところから出ています。ぜひお読みになってみてください。郭さん、今日は本当にありがとうございました
郭:
どうもありがとうございました
堤:
以上、BREAKTHROUGHでした
EU版TPPも交渉が始まっているようです。
米欧版TPP 米国の遺伝子組み換え食品ーしんぶん赤旗
※おまけ
管理人もこの本を読みました。その本を参考に幾つか記事を書きましたので、読んでみてください。
リンク先はTPPのラベルです。
http://nekotoenpitu.blogspot.jp/search/label/TPP
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