産経ニュースの生活保護を問うという記事2本には、生活保護費が多すぎるというメッセージを忍ばせています。要するに生活保護バッシング。
(1)息子の嘘「今年は家族旅行するんや」…でも受給しない矜持
産経ニュースwest 2012.10.14 18:30 生活保護を問う
(2)「こんな不公平ありえん」 働いた者がバカを見る制度
産経ニュースwest 2012.10.14 19:00 生活保護を問う
納税者にとって不公平感が募る生活保護制度。生活保護の給付水準が最低賃金で働いた場合の収入を上回る逆転現象は周知の事実で、さらに保護費から支払われる生活扶助が、基礎年金や低所得者の生活費を超える不均衡も生まれている。「入りやすく出やすい」を目指した生活保護の制度設計は「入りやすく出たくない」という“もらい得”のモラルハザードを招いているが、それでも「社会の一員として働く姿」を尊いと考え、生活保護を受給するより少ない年収で暮らす人ももちろんいる。 |
電話をしてもすぐに弾かれ、窓口に行っても親族はどうしてるの?とか働けるでしょ?など無謀な条件を突きつけ追い返している現状があります。
日本弁護士連合会のパンフレットを読んで生活保護を改めて考える―不正受給の問題や利用者数など
生活保護基準以下の世帯の何%が実際に保護を受けているかという「捕捉率」。これを見ればひと目でわかるけど、「入りやすい」という表現は全く当てはまらないのです。
生活保護を受給するより少ない年収で暮らす人ももちろんいる。 |
これをもとに生活保護で1年間いくらになるかを単純に計算しました。
間違っていたらご指摘ください。
毎月の実質的な受給額 358,348円×12ヶ月=4,300,176円
冬季加算 5,810円×5ヶ月=29,050円
期末一時扶助 85,080円
計 4,414,306円
となります。これが憲法25条で保証されている最低限度の生活に必要なお金です。これは、あくまで奥さんと中学生の長男、小学生の次男と長女、さらに4歳の次女がいるという家族のモデルケースです。
そして、タクシーの運転手をしている立川さんの手取り年収340万円。
本来の生活保護の意味であれば、およそ100万円の保護費が支払われるはずなのです。それが生活保護の本来の意味です。最低限の生活水準になるように、国が補助するのがこの生活保護制度。それが今や財政が逼迫しているからという理由から、保護を受けるべき人が受けられない辞退になっています。
さらに、ここでの大きな問題として、労働している人の賃金が生活保護費よりも低くなる逆転現象が起きていることです。
なので、ここで追求しなければならないのは、労働している人の最低賃金が生活保護給付水準よりも低いことにあるのです。
生活保護給付水準は憲法第25条で保証されている最低限の生活を保証するものです。
日本国憲法 第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 |
それよりも低い労働賃金がまかり通っていることが問題なのです。
この産経ニュースではそれが一切語られず、
「「働いたものがばかを見るような制度はね、おのずと破綻してしまう」という橋下市長の言葉をタイトルに用いて、働いていない人を見下した表現をしています。
これは論点が完全に間違っております。
働いている人がバカを見る制度。生活保護はそんな言葉で表すことができるほど単純なものではありません。さまざまな障害(ここでいう障害は身体の障害だけにあらず、生活環境や不況で仕事自体がないなど様々な意味を含みます)があって、仕事につけない人も数多くいるのは承知の通りなのです。
日本人はその特徴として、空気を読む人種であり、隣の芝生は青い人種です。なので、こういった表面的な問題で物事を考えがちです。しかし、もっとより深く問題を知っていかないと、自分や身の回りの人がその立場になった時に支えることができなくなるのではないでしょうか。
管理人ももっと勉強して行かないといけないと痛感しました。
手始めに、以下のリンクにパンフレットがありますので、ぜひ読んでください。
日本弁護士連合会のパンフレットを読んで生活保護を改めて考える―不正受給の問題や利用者数など
◀クリックで人気ランキングに投票を! |
今回は原発記事ではありませんが(^_^;)