2012年 4月 2日【月】広瀬隆氏 福島原発の真実・たね蒔きジャーナル「人類が今まで体験したことがないほど、大変なことが起こりうる」
広瀬隆さんがたね蒔きジャーナルに出演されました。
これはと思い、文字起こしをしました。(遅くなりましたが・・・)
文字起こしはいかから
(00:23:36)
水野:
広瀬さんはもうずーっと以前からですね、原発に関する警告を発していらっしゃった方だという風に私は認識しているんですが、広瀬さんがそういうメッセージを発しようと思われたのは、いつからどんなきっかけだったんですか?
広瀬:
いやーもうそういう古い話はいいですよ
水野:
そうですか
広瀬:
そんなことはまぁいいんで
水野:
それは大切話なんです。私にとっては。というのはね、広瀬さんはもともと技術者でいらした時代があるって聞いたもんですから、作家やジャーナリストとして活躍される前には、言ったらそのーなんかメカニックなことをやってらしたんですか?
広瀬:
エレクトロニクス関係の材料技術者でしたから、工場で技術者だったので、工場技術者というのは不思議なもんで、全て知っていないと何もできない世界なんですよね。専門というのはないんですよ。そういう体験的なところから、物事を見るということは、エンジニアってのは誰でもそうだと思います。できると思うんですけどね
水野:
エンジニアの方々にとって全てを見る、全体が分かってないとひとつの部分も専門的にはできないとおっしゃいましたけど、私そんな話とても納得いくんですが、でもこの原子力についての専門家の方とお話しをさせていただいたり、読んだりしますとね、いや私は部分、そこの部分のことは専門なんだけど、全体像はわからないという方多くないですか?
広瀬:
そうかもしれないけど、結局どんなことでも、あの、わからないでしょ、最初はね。あの、どんな、例えば福島第一の事故の経過にしても、わからないから考えるわけですよね。そこが大事で、だから別に特別、私に言わせると専門家である必要は何もないと思いますけど。誰でも同じだと思います
水野:
ありのままを見ていけると
広瀬:
放射能の問題でもそうだと思いますよ
水野:
そういう意味では、私どもの種まきジャーナルはですね、リスナーの方々が、ほとんどの方が素人ですけれども、いろんな質問を投げかけてくださるわけですよね。で、じゃ、あの、今日のメインテーマそのものになるかもしれませんけれども、たぬきわんわんという方が質問してらっしゃるんで、まず一言伺いたいんですけど、じゃその、事故は、福島の事故は、今どうなんですか?収束させる方法って具体的にあるんですか?
広瀬:
私はないとみています
水野:
ないですか
広瀬:
ええ。完全にないですね。というのは、あのー、瓦礫のように燃料棒が落下して、それこそ溶岩の塊みたいなものが地下にめり込んでるわけですよ。それで、そこへ東京電力から水をかけてるかけてると言ってるだけで、かかってるかどうかもわかってないわけで
水野:
かかってるかどうかもわかんない
広瀬:
それはわかんないです。だって、中覗けない状態ですから。で、実際に、その、中にめり込んでたら、水かかるはずないでしょ。
水野:
たしかにねー
広瀬:
だって、外にむき出しになってなきゃ水はかかんないわけですから。だから、そういうことを、メカニズムをずっと考えていくと、要するに瓦礫のような燃料棒を取り出せるかどうか、それが事故を収束できるかどうかって意味だと思うんですね。だけど、取り出せないと思うんです。私は。どっかめり込んでるから。
平野:
いわば、チャイナシンドローム状態であるということですかね。
広瀬:
はい。だから、チャイナシンドロームってのは、さらに地面やなんかにね、めり込んで深く入っていく現象を言うんですけれど、それがどこまで入っているかはね、実を言うとまだ誰にもわかってないわけです。先日ですね、アメリカのアーニー・ガンダーセンという方と、あのー2月に彼が来日したので、対談したんですけれどね
水野:
このガンダーセンさんとおっしゃる方は、アメリカの原子力技術者でいらっしゃいますよね
広瀬:
そうです
水野:
もともと、エンジニアとして、アメリカで原子炉を作ったり、設計したり、運転していたりってそういうことに携わっていました(聞き取れず)の方
広瀬:
そう、だから、本当に、要するに、原子炉の事故やなんかの解析が一番できる人なんですよね
水野:
中身を全部わかっていらっしゃる方なんですね
広瀬:
そうそう。だからあの、福島のあの、東電が発表したりするビデオの映像を見ただけでね、これは何が起こってるってのを読み解いてしまうような、そういうことができる人、これはもうめったにいないですけれど、だから、そういう意味で私はいつも講演会でガンダーセンさんをいつも紹介しているんですよ
水野:
そのガンダーセン博士と実際にお会いになって、おしゃべりになった。どんなお話になりましたか
広瀬:
私はね、だからあの、一番怖かったのは、あのガンダーセンさんが2月に本を出したんですけれどね、福島第一事故という集英社新書出したんで、それで私はそれを読んで、あの「福島第一原発―真相と展望 」という本ですね。で、それを読んで、私ちょっと震え上がったんですよ。それは、何が怖いかというと、あのー、1,2,3,4,6みんな爆発して破壊したんですが
水野:
福島第一原発の、つまり4号機の問題ですね
広瀬:
4号機の問題がね、あのー大変恐ろしいことが書いてあって、要するにあのー、4号機で起こりうる事故はね、これからですよ、これから起こりうる非常に怖いことは、要するに人類が今まで体験したことがないほど、大変なことが起こりうると。一切の対策が取れないものはね、日本列島が分断されると書いてある。分断されるって意味はちょっと分かんないですけど、要するに壊滅するってことですよね。だから、そういうことがどうして起こるのかっていうことを、私はガンダーセンさんに会って聞きたかったんです
水野:
はいーはい
広瀬:
というのは、ガンダーセンさんは、あの起こりうるっていうのは、4号機は水素爆発して、上が吹っ飛んじゃってますよね
水野:
はい
広瀬:
上が何にもない
水野:
建屋とか何にもカバーするものはない
広瀬:
建屋がない。はい。それで、あのー使用済みの核燃料プールが最上階にあって、それがむき出しになっているわけですね。プールが。そこに、一応今水が入ってるかもしれないけれど、その状態で、要するに、水が抜けるという事態が起こったらですよ
水野:
プールの水が抜けるという事態が起こったら
広瀬:
そうそう。そう。そうすると、燃料がね、大気中で燃え出すと書いてあったんですね。で、私にはにわかにその意味が分からなんなかったんですよ。あのー燃料というのは、二酸化ウランなんで、えーあの、ウランの酸化物ですからね、だから、そもそも酸化物がその大気中で燃えるということの意味が分からなかった。そうじゃないんだと
水野:
どういうことなんですか
広瀬:
あのー燃料を包んでいるジルコニウムのパイプが燃え出すと、金属
水野:
ジルコニウムという金属で燃料は包まれているから、普通はあのー、空気とは接触しないんですよね。燃料は直接は
広瀬:
そうそうそう。ええ。だけれど、それが水が抜けるってことになると、あのもう、その状態で灼熱状態になっていって、そして、そのジルコニウムが大気中にむき出しになるので、燃え出すって言うんですね。それならありうると思って、そういう状態になるともう、人類の体験したことのない大変なことになると。
水野:
つまりあの、例えば、映像でその状況を見るとしたら、4号機のプールのところが、火災が発生するというイメージでよろしいですか
広瀬:
そうでしょうね。燃え、バーンと燃え上がるんだと思いますね。それ以外ちょっと考えられないから
水野:
核燃料がじゃあ、あのー火災を起こすとどうなるんですか
広瀬:
いやだから、一緒に核燃料がそのまままた燃え上がると思いますよ一緒にね。全部一緒に燃え上っていくと思うんですけれど。だから、その場合に、いったい何が起こるかってことなんですが、私はあのもう、去年の事故直後から、やっぱりこの4号機のね、建物が非常に傾いているんで怖かったんですよ。建物そのものがね。この建物というのは、要するにあの、そんなに新しいんじゃないんです、この建物は。これは、4号機の建物はいつできたかって、1978年なんですよ。あの運転を開始したのは
水野:
ということは33年前ですか
広瀬:
んー34年前ですね。だけれど、あのー。その前に建設はじまってますから、それを運転開始でしょ。だから、40年経ってるんですよ。それほどの老朽化した建物が水素爆発して、ぶっ壊れたわけですから、そもそもいろんな写真をね、見ますと、いつも写真を見るたびちょっと私は震え上がるんですけれど、それだけじゃなくて、そのガンダーセンさんが言っているようなことが一番起こりうるってのは何だと思います?
水野:
何なんでしょう。あのー地震が来たらばどうなるんだろうっていうのは
広瀬:
そうそう。そうそう。一番怖いのは地震なんですよね
平野:
東電なんかはちょっとあのー補強した、みたいなこと言ってますけど、ほとんどそんなには信用できないですよね。そんなに長時間作業できないですよね
水野:
どうなんですか。補強工事は具体的にどんなことをしたんですか
広瀬:
あのプールの下にですね、これは聞くところなんですけれど、我々も確かめてるわけじゃないんですから、少なくとも聞いてるところでは、コンクリートのプールの下に鋼鉄製のサポートって、まぁ支持の柱をですね、突っ込んだと。それで、こう、崩れるのを支えてると。いうことなんですが、あのー。現地の福島の人たち、ま、現場に近い人たちの話では、今おっしゃったようにね、そんなしっかりした工事ができてないんで、特にその下ですね、支柱を立てたその下がコンクリートがしっかりできてるはずがないっていうんです。だから、あのー。支柱があってもその下がね、弱かったらほとんど意味のない話なんですよね。だからね、あの、本当に怖いんですけれど
水野:
これ、あの私が今伺ったイメージではね、あのー、プールの中に水が今あるけれども、例えば大きな余震があった時に、プールがガガッとこう崩れ落ちてですね、で、水が流れ出てしまって、そして、置いてあった核燃料が空気に触れて、そして火災を起こすっていう、そういうイメージを私はいま抱いているんです。そういうことでしょうか
広瀬:
んーあのねー、いろんなシナリオがありうるんですよね。ってのは、あの、ずっと、あそこ福島は、あの、余震でずーっと揺さぶられて続けてるんですよ
水野:
昨日もそうでしたよねー。震度5弱という地震でした
広瀬:
ええ。で、関西の人はいいんですよ。こんなこと言っちゃ怒られるかもしれないけど、関西の人はね、そういうのは記事でしか見ないけれど、われわれ、こっちにいるともう本当に怖いんです
水野:
関東という意味ですか
広瀬:
関東、東日本にいるとね。で、また福島かという感じなんですよね。それで、だからそれがずーっと揺さぶられてますから、私はねプールそのものは、かなりね、あのもー、弱ってると思うんです。疲労、いわゆる金属疲労なんかでもそうなんですが、何も巨大なエネルギーじゃなくても、ずーっとこう一定の中程度のエネルギーがずーっと与えられると、疲労で、それで亀裂やなんかはいるでしょ。だから、どさっと崩れなくても、亀裂が入るとかね、そういうことが、私なんかは想像できるんですよね。どっちが起こるかわからないですけれど、だけど少なくともね、あのー、この、万が一そういうことが起こったら、もう終わりなんですから、多分日本終わるんですから
水野:
終わりっておっしゃるのはね、あのー、核燃料の量という意味ですか
広瀬:
そう、核燃料はね、要するにとてつもない量がここに入ってるんですよね。あの、4号機が。しかも、4号機取り出した、あのー燃料が非常に新しかったんですよね。4号機で。だから、あの、ガンダーセンさんが書いて、こういうことを本にして、炉心数個分の使用済み核燃料、つまり10~15年分の運転期間の燃料が入っているってことをガンダーセンさんが指摘してますけれど、まさにそういう状態ですから、だからここはドンというようなことがいったらね、あのー、もちろんこの現場に一人も人がいられなくなりますよね3。それはお分かりと思うんですけれど
水野:
そうなると水を、水を入れて冷却することができなくなりますよね
広瀬:
うん。あのー、この4号機だけじゃなくて、要するに、ここにいる運転員や作業者の人たちが今何をしているのかは我々には正直なところいったい何をしているのかわからないですから、この人たちが全員逃げ出さなきゃなんないことは間違いないわけです。そんな事態でしたら。もうそこにいれば死んじゃいますから。だから、そうなると、1・2・3・4、1・2・3も全部同じですよね。それから、5,6号機もおんなじなんですよね。要するに、全部放り出して逃げなきゃいけない。あるいは、福島第二だってそういう巻き込まれるかもしれない。それくらい大変な量の放射能になりますから。そうなるとね、あのーどういう形で進行していくか誰にも分かんないですけれど、最悪のシナリオを考えると、あのー、次々と爆発するようなことが起こっても不思議じゃないんですよね。それが、まぁ時間の問題になってくると思うんですけど。だから、そういうことを避けなきゃいけないわけで、我々はただ恐れていてもいけないので、それで、ただ一つできることというのは、燃料棒を取り出すことしかないんですよね。
水野:
燃料棒を取り出す
平野:
これもでも大変な難しい作業でしょ
広瀬:
そうです。だから、それはね、まぁ決死の作業をやらなければいけないけれど、今の段階で、要するに最悪の事態が、あのーこれがね、万一という話を私しているんじゃないんですよね。なぜかというと、ずっとこの地震の断層の問題がですね、私はずっと以前から、福島の断層が心配で、学習会やってきた人間ですからね。あの、一番心配なのは、福島第一原発、第二原発の目の前を走っている内陸の二葉断層
水野:
二葉断層という断層があるんですね
広瀬:
あるんですね。これは長さ70キロもあるんですよ。長さ70キロというのは、これは全部、これ東京電力は細切れにしてきてね、今まで。あの要するに、長いものがあると、電力会社がすべての原発の、あの、近くの断層を全部細切れにしちゃうんですね。それで、大丈夫大丈夫と言って原発を立ててきたわけです。双葉断層はね誰が見ても、一本のながーい長大な断層なのに、細かくしてきただけだから、これはね動くと完全に一体でドーンと動くはずなんですよね。それはね、マグニチュード7.9クラス。このマグニチュード7.9というのは関東大震災と同じですけれど、みなさんのね、関西の人の記憶にある阪神大震災、あれが内陸直下型のね、代表的な地震ですから、あれと比べた場合に、阪神大震災の8倍くらいの、要するに阪神高速道路をひっくり返した、あのエネルギーの8倍のエネルギーがね、ここで放出される可能性が非常に高いわけです。で、これはね、傍証がたくさんあるんですよ、それが動くんではないかと。なぜかというと、あの、東北大学の地震学の趙大鵬教授がいるんですけど、この人は中国人で、こういう地下構造非常に詳しい3方なんですが、この人が大変恐ろしいことを発表しているんですが、その双葉断層に今水が浸透してきていると
水野:
水ですか
平野:
地下水ですか
広瀬:
ええ。地下水。地下の岩盤から上昇した水が双葉断層に浸透してくる。で、断層ってのは要するに亀裂ですよ。亀裂に水が入ると要するに滑りやすくなるでしょ?で、摩擦力がなくなって地震が起こりやすくなるわけです。で、去年の311の大地震のちょうど1か月後にね、実を言うとこの双葉断層が一番南まであって、宮城県からずーっと降りてきて、福島県の一番南がいわき市なんですけれど、このいわき市でね、大型余震が起こったんです。去年。皆さんご記憶ないと思うんですけども、あんまりずっとたくさん余震があったんでね。これねマグニチュード7という非常に大きな余震だったんです。マグニチュード7ってのは普通の余震というようなもんじゃないですよね。あの、例えば、新潟県中越沖地震。柏崎刈羽原発をぶっ壊した地震の2倍くらいのエネルギーですから。そういう余震が絶えず起こって、その時に、井戸沢断層というのがうわーっといわき市に顔を出してきたんですよね。その水がね、入ると、断層に水が入ると動きやすいっていう現象、ちょうど皆さんがニュースで見てるんですけど、新潟県上越市の(聞き取れず)で起こってますね。あれがやっぱり同じでしょ?あの地下、雪解け水が地下に入って、それで大崩落を起こしたわけです。あれと同じような原理が、この双葉断層で
水野:
双葉断層で起こるんじゃないかと指摘している学者がいらっしゃるわけです
広瀬:
うん、そうそう。それで起こったと趙先生は指摘しているんですよね。それで、しかもねー、相次いで茨城県のほうでもすぐ、要するにいわき市の南が茨城県ですから東海第二原発があるんですが、そちらのほうで今巨大地震が起こる可能性が高まってきて、それで、それはあの、今言った井戸沢断層やなんかが、このー東海第二原発のほうにある、隠れていた断層、隠れていたんじゃなくて、認めなかったんですけどね、そういう断層とみんな動く可能性をついに認め始めたんですよ
水野:
そうしますと、すいません、広瀬さん、ちょっとお時間が近くなってきたんですけど
広瀬:
はいはい、すいません
水野:
そうしたそのー、地震の恐れが高まっているという学者もいる中で、とりわけやはり広瀬さんは福島第一原発の4号機を注視していらっしゃると
広瀬:
うん。4号機だけじゃないんですけど。4号機だけじゃないんですけれど、でも4号機がともかく一番危ないことは間違いないですね
水野:
うーん、はい。えーどうもありがとうございました。作家の広瀬隆さんでした
広瀬:
はい!
(00:45:56)
ラベル:
4号機使用済み燃料プール,
たね蒔きジャーナル,
広瀬隆氏
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