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過去記事です。

2012年7月8日 金子勝慶応大教授「原発再稼働問題。電力不足でなく経営問題 」神戸新聞より

2012年7月8日 神戸新聞
原発再稼働を巡って
金子勝・慶応大教授に聞く



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これは今後私たちが情報を知るうえで、とても重要なポイントになると思いました。
新聞記事の文字が読みにくかったので、書き起こしました。
みなさんもぜひ知って、マスコミの情報操作にひっからぬようにしましょう!!!





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大飯原発の再稼働は電力不足とは関係がないことを関西電力は明言しました。



※重要なところは色を変えようとしましたが、あまりに重要な事柄が多すぎたので、そのままの色でおとどけです。すみません
夏の電力不足などを理由に関西電力大飯原発の再稼働を決めた政府。金子勝慶応大教授に、その背景にある「本質的な問題」を聞いた。
×  ×
政府や電力会社が再稼働を急ぐのは、無理やりにでも動かさないと経営が持たないからです。安全性が怪しくて動かせない原発は多額の減価償却費と維持管理費だけを生み、赤字を膨らませる「不良債権」なのです。
一方、減価償却を終え、安全対策に投資をしていない原発ほどコストが安く、利益が上がる仕組みになっている。危険な原発に依存するビジネスモデルを続けてきたことに問題の根があります。関電は発電総量の約5割を原発が占め、「40年で廃炉」となると8年以内に全11基の原子炉のうち7基が止まる計算です。再稼働は、実はエネルギー不足問題ではなく電力会社の経営問題なのです。
東京電力の総合特別事業計画をよく読むと、年間20ミリシーベルト未満の地域の住民は帰宅することにして賠償費用を計上していません。また除染費用も計上していません。この賠償費用の「値切り」で放射線被害者を切り捨てる一方、経営責任も貸し手責任も問わずに家庭用電気料金の値上げで賠償費用を国民に払わせようとしている。そこに財政赤字を膨らませたくない国と、貸し手責任を問われたくない金融機関の利害が絡み、柏崎刈羽原発の再稼働への圧力になっている。
注視すべきはこうした「論点のすり替え」です。エネルギー不足、燃料費上昇、安価な原発…。いずれも、政策を正々堂々と展開できないため、ロジックをごまかし、国民世論をトリックにはめるための論点設定です。
それは税と社会保障の一体改革も同じ。最初は社会保障を充実させるから増税を受け入れろ、だったのが、いつの間にか消費税増税だけが先行している。そうなると今度は「『決めれられない政治』からの脱却」と言う。私たちはそうしたすり替えを見抜き、厳しく批判しなければなりません。
今行われている政治は、旧来型の永田町のパワーバランスの下で「失われた20年」に戻ろうとする“先祖返り”です。このままでは「失われた30年」に向かってしまう。
しかし、国民世論のスタンスはぶれていません。原発の即時停止は2割強、漸進的な脱原発は4割強で、再生エネルギーへの期待も約7割で安定している。消費税増税も社会保障が充実するならいいと一貫している。そして、原発問題も含めて、市民の側から今の社会を変えようという動きも各地で起こっています。
政党政治が壊れつつある中、政策に従って市民が個々の政治家を選別する状況が生まれてくるでしょう。小泉純一郎や橋下徹のような「劇場型政治」の観客にならず、いかに地に足のついた政治とコミットしていくかに今後がかかっています。
電力会社は地域独占や総括原価方式で守られ、政治家には献金、官僚には天下りがある。原発は旧来型の政財官一体構造の「ど真ん中」にあります。簡単に手放すはずがない。この「ど真ん中」に対抗するには強いロジックが必要です。その出発点は何か。「フクシマ」以外にありません。
被害に苦しむふくしまの人々の現実を、われわれの倫理的な出発点とする。その場所から訴え続ける限り、あらゆるロジックに負けません。そういう意味で、私は現状に悲観していません。
かねこ・まさる
1952年東京生まれ。専門は財政学、制度経済学。著書に「『脱原発』成長論」など。原子力政策の基本方針を議論する国の原子力委員会の「新大綱策定会議」のメンバーも務める。









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