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過去記事です。

井野博満東京大学名誉教授が警告「玄海原発は爆発する」週刊現代7月2日号転載 この記事の転載には重要な意味があります。

玄海1号機 12月1日から定期検査
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/275402

このニュースを見た時、ハッとした。
週刊現代7月2日号に玄海原発爆発を警告した記事が出ていた。

その内容を読めばわかるのだが、未曾有の危機になる可能性があるため、
12月1日~暫くの間は玄海原発1号機からは特に目が離せない。

ちなみに上記のニュース内の、低検査項目に「原子炉圧力容器の老朽化度合いを調べる試験片の測定は実施しない」とある。以下の警告を読んでみんなはこの文章に納得が行くだろうか?

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井野博満東京大学名誉教授が警告
玄海原発は爆発する




チェルノブイリ以上の大爆発
「原子炉は老朽化するにつれ、圧力容器は中性子線によって脆化=劣化していきます。すると、ある条件に陥った場合に、容器がバリン、と割れてしまう危険性があるのです。圧力容器の破壊は、原発にとって究極の大事故というべきものです。圧力容器が割れたら核反応の暴走を防ぐ手立てはほとんどなくなります。原子炉が、福島第一原発でも起きなかったような大爆発を起こすのです。その危険が、いま玄海原発(佐賀県・九州電力)に迫っています」

そう指摘するのは、金属材料学の権威で、東京大学名誉教授の井野博満氏だ。

東京電力福島第一原発のメルトダウン事故を受け、政府は浜岡原発(静岡県)の全面停止を決めた。理由は、M8超とされる東海地震が発生する可能性が高まっているからだという。しかし、果たして「危険な原発」は、浜岡だけなのか。井野氏は、日本で最も古い原子炉の一つ、玄海原発1号機の危険性を強く警告し続けている研究者だ。

一般にはあまり知られていませんが、日本は“原発老朽化の先進国”です。

アメリカは日本より10年早く、‘60年代に原発を稼働させましたが、大半はすでに廃炉になっていますし、ドイツも同様です。その頃に建設され、運転を開始した原発がいくつも使われているのは、日本だけです。

こうした、世界に類を見ない老朽化原発の象徴的存在といえるのが、玄海原発の1号機なのです。

玄海原発では、もっとも古い1号機と、’97年に運転開始の4号機が現在稼働中。2号機、3号機は定期検査中だが、その再稼働をめぐって地元は紛糾し、玄海町は稼働を承認するも、佐賀県は慎重な姿勢を崩していないなど、議論が続く。

また、3号機は、'09年に日本発のプルサーマル発電を開始した原子炉としても知られる。
‘75年に稼動した玄海原発1号機は、今や日本一危険な原子炉であるといっても差し支えありません。なぜなら、地震や故障など、何らかの原因で通常の冷却機能が停止し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動して、原子炉圧力容器が急冷されると、その際に容器そのものが破壊されてしまう危険性があるからです。




最も危険な原発―それは疑いなく、この玄海原発だ。もし事故が起きれば、その被害は福島第一の比ではない。予想される「大爆発」は、人々の命も日本の未来も、根こそぎ吹き飛ばしてしまう。


玄海原発1号機のような加圧水型軽水炉(PWR)は通常、圧力容器内が150気圧、300度以上の高圧・高温で運転されています。もし、この150気圧の圧力容器が壊れ、爆発したらどうなるか。

容器内の放射性物質は全て噴出し、空高く舞い上がり、広大なエリアに降り注ぐことになります。福島第一どころかチェルノブイリ以上の大惨事になるのは間違いありません。

では、なぜそれほど玄海原発1号機が危険なのかを説明していきましょう。

原発の老朽化をはかるうえで重要な指標に、圧力容器の「中性子照射脆化(ちゅうせいししょうしゃぜいか)」というものがあります。原子炉内で核分裂が起きると、炉内に発生した中性子が飛んで、圧力容器の内壁にぶつかり、金属にダメージを与えることになります。何月がたつにつれて、これが圧力容器を脆(もろ)くしてしまう。それが中性子照射脆化と呼ばれる現象です。

一般に原子炉というと、非常に頑丈で、何か特別な材料でできているように思われがちですが、実はまったくそんなことはありません。圧力容器は鉄にニッケルやモリブデンなどを多少加えた鋼でつくられていて、配管にいたってはステンレス製で、これは家庭用の流し台の素材と同じです。


原子炉というのはそういうごくありきたりの金属でできています。したがって、他の一般的な機械と同様、経年によってガタもくれば、老朽化もする。しかも、その老朽化において原発特有の原因があり、それが中性子照射というわけです。


原子炉があっさり割れる


では、その脆化=劣化とはどういうものなのでしょうか。簡単にい言えば、中性子線によって金属の柔軟性・弾力性が失われて“硬く”なり、こわれやすくなる、ということです。人体にたとえれば、動脈硬化によって血管が破れやすくなるのをイメージしてください。金属の場合、劣化が進むと、「ある程度」(脆性遷移温度と言います)より低くなると、まるで陶磁器が割れるように、小さな力であっさりと割れてしまうようになります。この現象が、玄海原発1号機のような老朽化原子炉では進んでいるのです。


通常、鋼の脆性遷移温度はマイナス20度くらいです。しかし、中性子線を浴びることによってこの温度がだんだんと上昇してきます。

この温度が高いほど、原子炉は危険になります。なぜなら、地震等で緊急炉心冷却装置が作動し、圧力容器を冷やさねばならなくなった場合、この「冷やす」という必要不可欠な操作自体が、危険を招くことになるからです。

玄海原発1号機の場合、この温度が、なんと「98度」になっているのです。

ガラスコップに熱湯を注ぐと、割れてしまいますよね。これはコップの内側と外側の温度差によって生じる力に、ガラスが耐えられなくなるからです。

原子炉の場合は、これと逆になります。高温の原子炉の中に、緊急冷却のために水を入れる。すると、それによって圧力容器が破壊されてしまう。「脆性遷移温度」が高いということは、その際、より早い段階で容器が壊れる危険性が出てくる、割れやすい、ということになります。

ちなみに九州電力が公表している玄海原発1号機の脆性遷移温度は、'76年が35度、'80年が37度、'93年が56度でした。ところが最新の’09年の調査で、それが一気に98度へと跳ね上がりました。

なぜこれほど急激に上昇したのか原因は不明です。ただ、圧力容器の鋼材に銅などの不純物が混ざっていると、老朽化が早く進み、この温度が高くなることがわかっています。以前は関西電力の美浜原発1号機の脆性遷移温度が最も高かった(81度)のですが、ここの圧力容器には銅成分が少なからず含まれています。
玄海原発の場合、単純には説明のつかない所がありますが、どうも鋼材そのものが均一な材質ではない、という仮説が成り立ちそうです。つまり、圧力容器自体が一種の不良品だった可能性も捨て切れません。


安全・保安院は知らなかった

もしも玄海原発1号機が爆発を起こした場合、周辺にどれほどの被害を及ぼすのか。元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二氏は、こう語る。

「原子炉の脆性破壊は、未だかつて世界が経験したことがない、巨大な事故になります。福島第一の事故は深刻ですが、それでも放射性物質の9割は圧力容器内に残っていると思われます。しかし、脆性破壊で爆発が起きれば、圧力容器は空になり、ほぼすべての放射性物質が放出されてしまいます。被害は玄海原発がある九州だけでなく、東は大阪にまで及ぶでしょう。大阪は現在の福島県の一部のように、避難区域になって住めなくなります。しかも、事故の進展が早いので、退避することも難しい。さらに、被害は中国など近隣のアジア諸国はもちろん、欧米にまで及ぶことになるでしょう」

呆れたことに、原子力安全・保安院は、玄海原発1号機の異様に高い脆性遷移温度のことを、昨年12月に私たち「原発老朽化問題研究会」が指摘するまで、把握していませんでした。

九州電力はこの情報を保安院に伝えておらず、保安院も電力会社に問い合わせる義務が無いので知らなかったと言うのです。福島第一原発の事故で、原子力の管理・監視体制がまったく機能しなかったことが問題になっていますが、ここでも同じことが起きている。

安全性が顧みられないうちに、日本の原発の老朽化はどんどん進んでいます。

脆性遷移温度が危険域にあるのは玄海1号機だけではありません。同2号機が78度、大飯2号機が70度、高浜1号機が54度と、ワースト2位から5位まで、福井県にある関西電力の原子炉が占めています。また、6位の敦賀1号(日本原子力発電・51度)も福井にあります。
老朽化原発は一刻も早く、廃炉にする必要があります。玄海1号機のように、本来40年の使用を想定していたのを60年に延長して使おうなどというのは、もってのほかです。

九州電力広報部は本誌の取材に対し、
「試験片による脆性遷移温度は98度ですが、容器本体の推定値は80度、60年間運転を続けても、’91年と推定されています。この数値は『日本電気協会』の定めた基準(93度)を下回っ手おり、安全性に問題があるとは考えておりません」
と回答した。

だが、同じように安全性に問題がなかったはずの福島第一原発は、地震と津波の前に“神話”が脆くも崩れ去り、多重メルトダウンという惨状を呈している。
今度、原発の過酷事故が起きれば、日本は完全に破滅する。そのリスクを冒してまで老朽化原発を使用する理由がどこにあるのか?

(週刊現代7月2日号)













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